eBayやAmazonよる輸出販売の確定申告徹底ガイド。副業の場合や、消費税の還付について解説。

これを読んでいただいているあなたは、eBayやAmazonでの輸出販売を始めたけど、売上について確定申告をしなくてはならないのだろうか?とお悩みかもしれません。会社員の方が副業でやっているケースもあるでしょうし、輸出販売が軌道にのってきたので本業としてやろうと思っている方もいるかもしれません。今回は、日本人の方でも「海外との取引(輸出販売)」がある方の税金について解説しようと思います。

サラリーマンが副業で輸出販売を行っている場合の確定申告義務

まず前提として、サラリーマンの方が会社からのお給料以外の所得を特にもらっていない場合は、確定申告をする必要は基本的にありません。サラリーマンの方は、毎月のお給料から源泉徴収という形で税金が天引きされており、年末に行われる年末調整という手続きを経ることで、会社側で1年分の所得税を正しく計算してくれるのです。

では、会社員でも確定申告をしなければならない人とは、どのようなケースの方でしょうか?以下で、代表的なものを挙げてみましょう。

給与所得者であっても、確定申告をする必要がある人の代表例

①給与の年間収入金額が2,000万円を超える人
②1か所から給与の支払を受けている人で、給与所得及び退職所得以外の所得の金額の合計額が20万円を超える人
③2か所以上から給与の支払を受けている人で、主たる給与以外の給与の収入金額と給与所得及び退職所得以外の所得の金額の合計額が20万円を超える人

さて、上記の例に照らした場合、サラリーマンの方が副業でeBayやAmazonの輸出販売を行っている場合、どのくらい稼いだら確定申告が必要になるかお分かりになるのではないでしょうか。1つの勤務先からのみ給料をもらっているサラリーマンの方は、②に該当します。従って、副業の所得が20万円を超えた場合に確定申告義務が生じることになるのです。なおここでいう所得とは、売上-必要経費を指します。単に「売上が20万円を超えたからすぐに確定申告をしなければいけない!」というわけではありませんので、ご留意ください。

また補足として、確定申告をする必要がないけれど、確定申告をすることで還付を受けることができるケースもあります。給与所得者が還付申告をするケースで代表的なものとしては、以下のような例があげられるでしょう。(外国人向けの記事になりますが、詳しくは還付申告についての解説もご参照ください。)

給与所得者が還付申告をする代表的な例

①年の途中で退職し、年末調整を受けていないため、源泉徴収税額が納め過ぎとなっているとき
②一定の要件を満たすマイホームの取得などをして、住宅ローンがあるとき
③多額の医療費を支出したとき
④上場株式等に係る譲渡損失の金額があるとき

住宅ローン控除については、よく耳にするかと思います。またご家族の出産・歯の治療・病気や怪我などで、病院に多く通うこととなった年についても、医療費控除が受けられるかもしれません。是非チェックしてみてください。

サラリーマンが副業で輸出販売を行う場合、事業所得と雑所得のどちらになるのでしょうか?

さて先に述べたように、あなたの副業での輸出販売が軌道にのり、所得(売上-必要経費)が20万円を超えてきたとしましょう。その場合、あなたは毎年3月15日までに、確定申告書を税務書に提出する必要がでてきます。第一ステップとして、あなたの輸出販売の所得が、どの種類の所得に該当するのかを考える必要があります。

副業による輸出販売の所得については、「事業所得」と「雑所得」のどちらかに該当することとなります。まずは雑所得の内容を簡単に見てみましょう。

雑所得とは?

雑所得とは、他の9種類の所得(事業所得、不動産所得、利子所得、配当所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得、一時所得)のいずれにも当たらない所得をいいます。具体的には下記のようなものになります。

・公的年金等
・先物取引の収益、FXの収益
・副業で書いた記事の原稿料や印税、副業としての講演料
・アフィリエイト収入、インターネットオークションの収入

公的年金等は、公的年金等に区分されるものだけで単独で計算を行います。また2番目の先物取引等に係るものについては、他の所得と区分して、単独で所得税15%(他に地方税5%)の税率による申告分離課税となります。

副業の輸出販売で稼いだ収入はそれ以外のものになりますので、売上から必要経費を差し引いた所得金額がプラスで、給与所得や退職所得以外の所得金額と合計して20万円を超える場合には、その他の雑所得(原稿料や印税、アフィリエイトやオークション収入などと同じ区分)として確定申告が必要となります。

ここでもしかしたら、「輸出販売の金額がかなり大きくなってきたので、事業所得に区分されるのではないか?」と思われる方もいらっしゃることでしょう

これにつきましては、サラリーマンなどの給与所得者の副業は、事業所得ではなく雑所得にあたると税務署で判断されるケースがほとんどです。副業を片手間や趣味でやっていて、小遣い稼ぎ程度の収入を得ている場合には、基本的に雑所得と判断されるでしょう。

事業所得になる判断の目安としては、少し難しい文言となりますが、下記のような点がポイントになります。いずれにしても、一定規模の収入が継続してあり、相応の労力をかけ、生活の糧になっていることを証明する必要があります。税務署が事実認定し判断するポイントとなりますので、「開業届を出したから事業所得として扱える」という訳ではありませんので、ご注意ください。

(参考:判例における雑所得の判断基準)
・自己の危険と計算において独立して営まれ、営利性、有償性を有し、かつ反覆継続して遂行する意思と社会的地位とが客観的に認められる業務から生ずる所得
・営利性・有償性の有無、継続性・反覆性の有無、自己の危険と計算における企画遂行性の有無、その取引に費やした精神的あるいは肉体的労力の程度、人的・物的設備の有無、その取引の目的、その者の職歴・社会的地位・生活状況などの諸点が検討される

専業で輸出販売を行う場合には、事業所得として確定申告を行います

上記で述べたとおり、サラリーマンが副業で輸出販売を行うケースでは、基本的には雑所得として確定申告を行うことをご説明いたしました。さて、輸出販売の事業が軌道にのり、晴れて会社を退職して専業で事業を行うことになった場合はどうなるでしょうか?

ご想像がつくことかと思いますが、この場合は個人事業主として開業届を税務署に提出し、事業所得として確定申告を行うこととなります。その場合、輸出販売の収入のみのケースでは、所得(売上-必要経費)が38万円を超えた時点で確定申告義務が発生します。38万円という金額の理由としては、基礎控除(38万円)という所得控除の制度により、誰しも所得から38万円を引いて税額を計算することが可能なので、必然的に所得が38万円以下の場合は税額が発生しないため、確定申告を行わなくても良いということなのです。

ただし、所得が38万円以下であっても、確定申告を行うメリットはあります。青色申告を行っている場合には、例えば事業で赤字が出ている場合、その赤字を3年間全額繰り越すことができます(純損失の繰越控除)。すなわち、赤字の翌年度に晴れて黒字となった場合には、繰り越してきた損失と相殺したうえで、税金を計算することができるのです。

また青色申告特別控除も、大きなメリットとなります。よく「青色申告で65万円の特別控除を受ける」ということを、耳にする方も多いのではないでしょうか。この制度を適用するためには、複式帳簿による記帳を行い、確定申告の際に損益計算書のほか貸借対照表を添付する必要があります。貸借対照表を作成するのが難しい方や、まだ利益が出ていないような場合には、簡易帳簿による記帳で10万円の特別控除を受ける方法もあります。

あるいは、ご主人の輸出販売事業を奥さまが手伝うような場合もあるでしょう。生計を一とするご家族に対する給与は、青色申告を行い事前の申請をすることで、奥さまに支払う給与を必要経費とすることができるのです。

なおフリーランスの方が損益の計算を行うには、今はクラウド会計ソフトを使うのが主流です。まずは操作性を確認し、自分に合うものを選んでみましょう。freeeは使いはじめて二年程たちますが、昨今AIの進化に驚かされます。また弥生も使っていますが、初心者にはわかり易いと思います。

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eBayやAmazonの輸出販売事業と消費税還付申告について

これまでのお話は所得税についてでした。さて、気になる人も多い分野であろう消費税について、ここからご説明していきたいと思います。まず、基本的なこととして、どのような人が消費税を納める必要があるのかについて解説いたします。

①消費税の納税義務についての基本的な考え方

国内において事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡、貸付け及び役務の提供について、消費税の納税義務が発生します。また消費税法上、その課税期間の基準期間における課税売上高が1,000万円以下の事業者は、納税義務が免除されます(免税事業者となります)。

ここで勘のいい方はお気づきになるかもしれませんが、あなたが輸出販売のビジネスだけを行っている場合、「消費税の納税義務者にはならない」ということをまずご理解ください。(詳しくは、国税庁のタックスアンサーNo.6551輸出取引の免税をご参照ください。)

②基準期間における課税売上高とは?

もしあなたが、輸出販売以外にも国内で商品を販売し売上をあげているとしたら、納税義務があるかどうかチェックする必要がでてきます。納税義務の有無の判定基準となる「基準期間における課税売上高」とは、一体何を指すのでしょうか?

個人事業主の場合、前々年(2年前)の課税売上高=基準期間の課税売上高となります。

先ほど述べたように、輸出取引は消費税の対象外となります。従って、課税売上高に含めるべき取引とは、国内での卸売・小売販売や、国内でのサービス提供による売上高となります。あなたが輸出販売以外にも、国内での販売対価などを得ている場合には、それらの基準期間の課税売上高が1,000万円を超えてくるようであれば、消費税の確定申告をする義務が生じるのです。

③eBayやAmazonの輸出販売で、消費税の還付が受けられるケースとは?

もし輸出販売のビジネスだけを行っている方の場合、「消費税の納税義務者にはならない」ということは述べました。従って、確定申告を行わず、納付額もゼロとする取り扱いとすることはもちろん可能です。

では、eBayやAmazonの輸出販売を行っている方が、消費税の還付を受けるというのはどういうことなのでしょうか?消費税の納税義務がない方でも、所轄税務署長に「消費税課税事業者選択届出書」を提出することで、免税事業者から課税事業者になりますという宣言をし、消費税の確定申告を行う(=還付申告を行う)ことができるのです。

少し具体的に説明してみましょう

輸出販売による売上については、前にも述べたとおり消費税がかかりません。例えば1,000円の商品に、消費税を上乗せして1,080円で販売することは行っていないでしょう。しかし輸出のために仕入れた商品に課された消費税、あるいは輸出業務のために支出した諸経費への国内消費税は、支払っているはずです。例えば国内で税抜500円の商品を購入する際、税込540円の支払いを行っていることでしょう。

上記の例でいうと、仕入価格の税込540円のうち消費税部分の40円について、所轄の税務署長に確定申告を行い、還付を受けることができるのです。eBayやAmazonへ支払っている手数料についても同様です。

なお課税事業者となるための届出書ですが、提出期限が適用を受けようとする課税期間の初日の前日までとなっています。例えば、2016年の12月31日までに消費税課税事業者選択届を出さないと、2017年分に係る消費税還付は受けられないということになります。(なお新規に輸出販売を始めた方の場合は、12月31日までの提出となっております。)

また補足ですが、輸出取引と国内取引を両方行っている方の場合は、還付と納付がどちらも発生します。その還付税額と納付税額は確定申告書の中で同時に申告されることになりますので、結果として還付税額と納付税額が相殺され、その差額を納付または還付ということになります。

いずれにせよかなり複雑になってきますので、税理士に確定申告書の作成を依頼するのが懸命かもしれません。以下のようなサイトで、スポットでも請け負ってくれる税理士をお探しになるのも一案でしょう。

【税理士の探し方】
おすすめはやはり弁護士紹介でも有名なこちらです。大手なので、希望に沿った税理士を見つけやすいと思います。税理士ドットコム

また、こちらでも税理士を見つけることができます。

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最初はお小遣い稼ぎ程度の収入であることから、確定申告とは縁遠いと考えていた方も、規模が拡大するような兆候がある場合、しっかりと税金のことを考えておく必要があります。eBayやAmazonの輸出販売の確定申告につきましては、売上の円貨換算などもポイントとなってきます。こちらについては、また改めて解説させていただきます。