外国人技能実習生を採用する際の、源泉徴収(税金)のポイント

外国人技能実習制度という言葉を最近よく耳にする方も多いのではないでしょうか?外国人技能実習制度とは、日本企業において発展途上国の若者を技能実習生として受け入れ、実際の実務を通じて実践的な技術や技能、知識を学び、帰国した後に母国の経済発展に役立ててもらうことを目的とした制度となります。技能実習生は、入社前に日本語や日本文化などの研修を受け、その後企業に配属され実践的な技能・技術・知識の修得を図ることとなります。

なお1年目に試験等に合格すると、「技能実習2号」として最長3年間の技能実習が行えることとなります。また技能実習生は、1年目から実習実施機関と雇用関係を結ぶこととなりますので、各種労働関係法令が適用されることとなります。

外国人技能実習生に対して支給する研修手当は、源泉徴収の必要がありますか?

外国人技能実習生に支給する研修手当は、その名目如何にかかわらず、雇用契約に基づく労働の対価に該当します。したがって、外国人に支払う給与となりますので、原則として源泉徴収の必要が生じます。

さて、源泉徴収を行うにあたって、税率はどうすればいいのかとお考えの方もいらっしゃるのではないでしょうか?まず最初に考えるべきポイントは、当該外国人実習生が、居住者と非居住者のどちらに該当するかということです。以下で、居住者と非居住者の原則的な定義を見てみましょう。

居住者とは
国内に住所を有し、または現在まで引き続き1年以上居所を有する個人を指します。

非居住者とは
居住者以外の個人を指します。

実習実施機関が、外国人技能実習制度を通じて実習生を受け入れる場合、当初は原則として1年以下の在留許可となることでしょう。したがって、雇用契約も1年未満の期間で締結することとなり、通常の場合は在留1年目では当該実習生は非居住者に該当することになるでしょう。

非居住者に対する給与については、一律20.42%で源泉徴収を行う必要があります。詳しくは、以下の記事もご参照ください。
・居住者・非居住者の判定について徹底解説。住民票やビザとの関係は?
・外国人を雇用する際の税金 ~非居住者へ給料を支払う場合の源泉徴収~

なお、実習生が技能検定試験に合格して新たな在留資格が許可された場合は、その許可を受けた日以後については、国内に1年以上滞在することを必要とする職業を有することになります。その場合、1年以上の期間で雇用契約を締結するようなケースでは居住者(非永住者)に該当することになりますので、給与については居住者と同一のやり方で源泉徴収を行うことになります。詳しくは、非永住者に係る源泉徴収と確定申告の解説もご覧ください。

技能実習生について、租税条約・租税協定による免税規定とはなんでしょうか?

日本は、各国と租税条約というものを締結しています。租税条約の内容は各国ごとに異なりますが、技能実習生に対して支払う給与について、一部の国では免税とする租税条約を締結しています。

代表的なものとしては、日中租税協定があげられるでしょう。中国人実習生に支払う技能実習に伴う賃金については、免税となります。ご留意いただきたい点としては、この免税の適用を受けるためには、支払者(すなわち実習実施機関)の所轄税務署に対して、租税条約に関する届出書をあらかじめ提出しておく必要があるということです。

なお、研修生という名目であっても、実質的に訓練や研修の実態がなく、通常の就労と変わらないような状況であると認められる場合には、日中租税協定の適用はなく源泉徴収が必要になると考えられますので、ご注意ください。

このような免税の内容が規定されている国としては、他にもフィリピン・タイ・インドネシアなどがありますが、細かい適用要件は各国ごとに異なるため、適用される条約の中身をしっかりと確認しておく必要があります。

なおベトナムに関しては、「日本以外から支払われた生計、教育又は訓練のために受けとる給付」については免税とされていますが、日本における勤務の対価は該当しませんので、原則として源泉徴収が必要となります。

【税理士の探し方】

外国人に係る税金は比較的複雑になってきますので、国際関係の分野に詳しい税理士に依頼するのが懸命です。下記のようなサイトで探してみることをおすすめします。
おすすめは弁護士紹介でも有名なこちらです。大手なので、希望に沿った税理士を見つけやすいと思います。また質問コーナーが充実していますので、類似の疑問を持つ人の質問を捜してみましょう。税理士ドットコム

また、こちらでも税理士を見つけることができます。充実したラインナップとなっています。

なお源泉徴収税額の計算については、今はクラウドの給与計算ソフトを使うのが主流となってきています。おすすめは会計ソフトで有名なfreeeですが、いくつか試してみてご自身に合うソフトを探してみましょう。



【管理部門の転職なら】