外国人・非居住者必見!所得税が確定申告で還付されるケース(還付申告)とは?

この記事をお読みいただいているあなたは、所得税の還付を受けられるかもしれないけれど、内容ややり方が良く分からない・・という外国人の方かもしれません。還付申告という言葉は聞いたことがあるという方も多いかもしれませんが、実際にどのようなことを指すのでしょうか?

還付申告とは?~給与所得者のケース~

もしあなたが確定申告書をする義務のない人である場合でも、給与などから源泉徴収された所得税額が、年間の所得金額に基づいて計算した所得税額よりも多いときは、確定申告をすることによって、納め過ぎた所得税の還付を受けることができます。この申告を還付申告といいます。

給与所得者が還付申告をするケースで代表的なものとしては、以下のような例があげられるでしょう。

還付申告を行う代表的なケース

①年の途中で退職し、年末調整を受けていないため、源泉徴収税額が納め過ぎとなっているとき
②一定の要件を満たすマイホームの取得などをして、住宅ローンがあるとき
③多額の医療費を支出したとき
④上場株式等に係る譲渡損失の金額があるとき

還付申告書は、確定申告期間とは関係なく、その年の翌年1月1日から5年間提出することができます。つまり、平成29年分の還付申告の場合は、平成30年1月1日~平成34年末までの間に申告ができることとなります。

なお外国人の給与所得者の方は、所得税法上の居住者に該当する場合は、日本人と同じように取り扱われることになりますので、確定申告書を提出して所得税の精算をすることが可能です。なお居住者とは、日本国内に住所があるか、または現在まで引き続いて1年以上居所がある個人をいいます。(詳しくは、居住者・非居住者の判定についての記事をご参照ください。

上記については、たとえ在留資格として認められた期間が過ぎて、不法滞在や不法就労となっている場合でも、居住者に該当するのであれば所得税の還付申告は可能となります。外国人の給与所得者の場合、年末調整を受けていないケースや、社会保険料控除・基礎控除のみで年末調整を行っているケースもあるため(会社側で、扶養の情報などを確認することを煩雑になるため避けているような場合です)、ご自身が所得税の還付を受けられる可能性があるかどうかを今一度ご確認いただくことをおすすめいたします。

日本に不動産を保有する非居住者が、所得税の還付を受けられるケース

上述の給与所得者の場合以外のケースでも、還付申告が可能となる場合がいくつかあります。いずれも、あらかじめ源泉徴収された金額が収め過ぎになっているため、その収めすぎた分を取り戻すという意味になります。その中の1つとして、日本に所在する不動産のオーナーの方(海外居住)が、確定申告を行う場合があげられます。

非居住者である不動産オーナーSさんが、日本に所在する物件を、日本法人A社の社宅にするために賃貸しているケースを考えてみましょう。

Sさんが不動産の賃貸収入を受け取る際には、20.42%で所得税が源泉徴収されています。(源泉徴収についての詳細は、外国人が日本で不動産投資を行う場合のポイントをご参照ください。)

ある年に、Sさんが保有する不動産について、老朽化により多額の修繕が発生したとしましょう。その年は、賃貸料収入よりも必要経費のほうが上回ってしまいました。その場合、損失がでている不動産所得について確定申告を行うことにより、20.42%で源泉徴収された賃貸料収入は、全額還付されることになるのです。なおご留意いただきたいのは、Sさんは還付にならない年についても、総合課税による確定申告の義務はあるという点です。現実的には、非居住者の方全員がこのようなケースで確定申告をしているとは考えにくいのですが、(従って税務署はあらかじめ源泉徴収を行っているのです。)もし必要経費が恒常的に上回っているような物件をお持ちの方は、間違いなく確定申告をするべきだと言えるでしょう。

また、非居住者の方が不動産の売却の場合も同様の原理となります。あらかじめ10.21%で源泉徴収された所得税は、総合課税の方法により確定申告を行うことで、最終的に精算が行われることとなります。譲渡損失が出ている場合には、還付を受けられますので、忘れずに確定申告を行いましょう。

その場合、比較的こういった分野に詳しい税理士に依頼するのが懸命です。最近では、海外居住の方や、スポットでも請け負ってくれる税理士も増えておりますので、下記のようなサイトで探してみることをおすすめします。

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非居住者の給与所得者は、所得税の還付を受けられるのでしょうか?

例えば、あなたの日本での雇用契約期間が1年に満たない場合、所得税法上は非居住者との取り扱いとなり、一律(給与の金額に関係なく)20.42%で所得税の源泉徴収がされていることでしょう。この金額は、確定申告を行うことによって還付してもらうことは可能なのでしょうか?

答えは、あなたがその会社からの給与所得しかもらっていない前提ですと、残念ながら20.42%で源泉徴収をされた所得税は還付してもらうことはできません。(源泉分離課税という制度となります。)ただしあなたが帰国し、本国で確定申告を行う場合には、外国税額控除という制度を適用し日本で収めた税金を差し引くことができる可能性がありますので、給与明細などの所得税額が分かる資料を忘れずに保管しておきましょう。(なお外国税額控除については、各国のそれぞれの規定によりますので、国によって適用の有無や内容はケースバイケースとなります。)

それでは、以下のようなケースではどうなるでしょうか?

Aさんは、日本に来日して1年半となります。現在2箇所の会社から給料をもらっており、そのうち1社では適正な源泉徴収(居住者としての税率)がされているようですが、もう1社では20.42%(非居住者としての税率)で源泉徴収がされてしまっています。私は、確定申告を行って還付請求してもいいのでしょうか?

Answer
上記のケースの場合、確定申告を行うことで結果的には正しい税額を納付することになるので、一見問題ないように思われます。しかしながら、20.42%で源泉徴収を行っている会社は、源泉徴収義務者としての正しい税額を徴収していないということになります。従って、Aさんは間違った源泉徴収をしている会社にその旨を伝えたうえで、正しい金額で源泉徴収をしなおしてもらう必要があります。会社側では、差額の過誤金を所轄税務署長に対して還付請求をして還付をうけ、Aさんに返還を行う必要があります。

外国人の還付申告については、色々と複雑な制度が絡み合っている側面があります。このほかにも、退職金にかかる源泉徴収に係る還付のケースや、扶養親族についてなどのトピックもありますので、また記事を改めてご説明させていただければと思います。

なお会計に少し詳しい方や、パソコン操作が好きな方は、ご自身で確定申告をしてみることをおすすめします。
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